
― 研究所で当たり前になっている構造 ―
この記事でわかること
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研究データが活かされない理由
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研究者個人と組織の視点の違い
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DXで問題にされるポイント
- この記事でわかること
- はじめに
- 研究者個人にとっては「十分使えている」
- データが「その人専用」になっている
- 時間が経つほど、価値が下がる
- データ整理は、後回しにされやすい
- DXが問題にするのは、ここ
- 今の自分が思うこと
- 今日のまとめ(Lv12)
- 次に考えること(Lv13予告)
はじめに
研究所には、
膨大なデータがあります。
実験データ、解析結果、検討資料。
何年分も蓄積されている。
それなのに、
「過去のデータを活用しよう」
という話になると、
急に空気が重くなります。
なぜ、こんなにデータがあるのに、
使われないまま眠ってしまうのか。
その理由を、改めて考えてみました。
研究者個人にとっては「十分使えている」
まず前提として、
研究者個人の視点では、
データはちゃんと使えています。
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自分の実験結果は把握している
-
必要なデータは自分で探せる
-
論文や報告書も書けている
困っていない。
だからこそ、
「データ活用ができていない」
と言われると、
違和感を覚えます。
この時点で、
DXとのズレが生まれています。
データが「その人専用」になっている
問題は、
データの中身ではありません。
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保存場所
-
ファイル構成
-
命名ルール
-
前提条件の説明
これらが、
その人専用になっていることです。
本人にとっては分かりやすい。
でも他の人から見ると、
何が書いてあるのか分からない。
結果として、
データは存在しているのに、
使われない状態になります。
時間が経つほど、価値が下がる
もう一つ大きいのは、
時間の問題です。
研究データは、
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実験条件
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当時の仮説
-
背景の意図
これらとセットで意味を持ちます。
時間が経つと、
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記憶が薄れる
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人が異動する
-
前提が分からなくなる
その結果、
「解釈できないデータ」
になってしまう。
データそのものは残っていても、
価値は大きく下がります。
データ整理は、後回しにされやすい
研究所では、
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実験
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解析
-
報告
が優先されます。
データを整理する作業は、
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直接成果につながらない
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締切がない
-
評価されにくい
そのため、
どうしても後回しになります。
気づいたときには、
手をつけられない量になっている。
これは個人の問題というより、
研究所の構造だと感じます。
DXが問題にするのは、ここ
DXの文脈で問題にされているのは、
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データがあるかどうか
ではありません。 -
他の人が使えるか
-
次の判断につながるか
-
組織の知見になっているか
ここです。
研究者個人としては
問題がなくても、
組織としては、
機会損失が起きている。
この視点の違いが、
データ活用の議論を
難しくしています。
今の自分が思うこと
研究データが眠ってしまうのは、
怠慢でも、意識の低さでもありません。
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個人最適で回っている
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整理する余裕がない
-
組織視点で設計されていない
これらが重なった結果です。
だからこそ、
「もっと頑張ろう」
では解決しない。
DXが必要だと言われる理由が、
少し分かった気がしました。
今日のまとめ(Lv12)
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研究データは個人では使えている
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組織として使えない構造がある
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時間とともにデータの価値は下がる
次に考えること(Lv13予告)
次は、
この流れでよく出てくる話題です。
研究ノート・実験記録はDXできるのか。
電子化とDXの違いを整理します。
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