
― 電子化とDXの違い ―
この記事でわかること
-
研究ノートをDXする、とはどういうことか
-
電子化だけでは足りない理由
-
研究所で起こりがちな勘違い
- この記事でわかること
- はじめに
- 研究者にとっての研究ノート
- 電子化で起きがちなこと
- DXが求めているのは「再利用」
- 書き方を変えるのは、簡単ではない
- 今の自分なりの落としどころ
- 今日のまとめ(Lv13)
- 次に考えること(Lv14予告)
はじめに
研究所DXの話になると、
かなりの確率で出てくるテーマがあります。
「まずは、研究ノートを電子化しましょう。」
紙のノート。
手書きの記録。
バラバラのフォーマット。
確かに、改善の余地は多い。
でも同時に、こうも思いました。
「電子化したら、それでDXなのか。」
この違和感を、
少し掘り下げてみます。
研究者にとっての研究ノート
研究ノートは、
-
思考の履歴
-
試行錯誤の痕跡
-
失敗の記録
こうしたものが詰まった、
とても個人的な存在です。
誰かに見せるためではなく、
自分が理解するために書く。
だからこそ、
-
書き方は人それぞれ
-
略語や記号も多い
-
前提は頭の中にある
この状態が、
研究者にとっては自然です。
電子化で起きがちなこと
研究ノートを電子化すると、
確かに便利になります。
-
検索できる
-
共有しやすい
-
保管しやすい
ただ、
電子化しただけでは、
本質的には何も変わらない
ケースも多い。
-
内容は相変わらず本人専用
-
背景や意図は書かれていない
-
他人には理解できない
紙からデータに変わっただけで、
DXとは言えない状態です。
DXが求めているのは「再利用」
DXの視点で研究ノートを見ると、
注目されるのはここです。
-
他の人が読めるか
-
後から意味が分かるか
-
次の研究に使えるか
研究ノートが、
個人の記録から
組織の知見へ
変わるかどうか。
ここが、
電子化とDXの分かれ目です。
書き方を変えるのは、簡単ではない
ただし、
「分かりやすく書こう」
と言うのは簡単ですが、
実際には難しい。
研究ノートは、
思考を止めずに書くためのもの。
毎回、
他人を意識して整理するのは、
研究のスピードを落とします。
このトレードオフを無視すると、
DXは現場で嫌われます。
研究ノートDXが難しい理由は、
ここにあると感じています。
今の自分なりの落としどころ
今の自分は、
こう考えています。
研究ノートすべてを
DXしようとしない。
代わりに、
-
結論
-
判断理由
-
重要な条件
こうした部分だけを、
後から切り出せる形にする。
研究ノートは個人用。
知見の整理は組織用。
この役割分担がないと、
うまくいかない気がしています。
今日のまとめ(Lv13)
-
電子化=DXではない
-
DXでは再利用性が問われる
-
研究ノートは個人用と割り切る視点も必要
次に考えること(Lv14予告)
次は、
この話と深くつながるテーマです。
研究所における「属人化」は、なぜ問題になるのか。
経験と知見の扱い方を整理します。
前の記事:Lv12:研究データは、なぜ「使われないまま」眠ってしまうのか
次の記事:Lv14:研究所における「属人化」は、なぜ問題になるのか